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裏道にあるパーマ屋さんのウインドウにオレンジ色のドレスを見つけた。
司は二重人格者だった。
普段の、温厚で優しい「司」
と
攻撃的で破壊的で独裁的、尚且つ執着心の強い「宰」。
この二人が、一人の「司」という人物を作っていた。
…そう言われた事がある。
けれど、私が覚えていなかったら、他に誰が司を覚えているの?
家族も知らない、司の横顔を知っているのは私だけなのに。
私しか知らない司だっているのに。
死んだ恋人を想い続けるのって、いけない事ですか?
数年前の冬に死んでしまった、恋人の司を。
司の事を思い出すと、胸が苦しくなる。
だから心の奥底にしまいこんでいるはずなのに、ふと、思い出す。
心の奥底ではあまりにも司も淋しいと思うので、こうしてそっと心の底から司を呼び出す。
…そんな夜があっても、いいよね。